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2013年9月11日

大阪でのカンガルーケア裁判が、一審で敗訴となりました。

判決内容をまとめると以下の通りです。

  • 低体温、低血糖には的確に裏付ける証拠がない。
  • 窒息は可能性があるが、これはカンガルーケア中ではなく授乳中であり、授乳は母と児の生理的な行為で、授乳をしながら鼻腔圧迫すれば窒息することは医療関係者じゃなくても容易に回避できるので、病院側に防止すべき義務はない。
  • ガイドラインには「決して守らなければならない規則ではない」旨の注記があり、観察義務はない。

原告のご両親から下記の通りコメントを頂いております。

 非常に残念な結果が出てしまいました。病院側から呼吸が安定すると言われてカンガルーケアを行ったのに、呼吸停止してしまい、さらには自己責任ともとれる判断をされてしまいました。

 カンガルーケア中の授乳(といっても咥えるだけ)では、電気を消され、顔色もわからない暗い部屋で、子どもの頭まで布団を被され、観察できないような状態で家族のみにされました。
出産で疲弊した母親は子どもを抱える腕にすら力が入りませんし、子どもの頭頂部しか見えません。
さらに、病院側はガイドラインを知っていたにも関わらず、うちでは事故は起こらないと過信していたため、私たちは呼吸停止するリスクも知りません。
機械的モニターなんかピーピーうるさいからという理由で付けませんでした。授乳体勢で鼻腔が圧迫されているように見えたので「窒息しませんか?」と助産師に訊くと、「大丈夫です。苦しくなったら自分で呼吸できるように動きますから」と説明までされていました。

 この判決内容では納得できませんし、今後も被害者が出続けることを考えると怒りさえ覚えます。

今後、控訴する予定とのことです。

以下、朝日新聞の記事をご紹介します。

 出産直後に母親が新生児と肌を合わせて抱く「カンガルーケア」(早期母子接触)が原因で重い後遺症が出たとして、大阪府内の女児(2)と両親が病院側に約2億7600万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は11日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。黒野功久(よしひさ)裁判長(杉浦徳宏〈とくひろ〉裁判長代読)は、「カンガルーケアによって低体温になったとは認められない」と述べた。

 判決によると、女児は2010年12月、府内の病院で生まれた直後から、母親(28)の胸の上にうつぶせにして抱かれ、ケアが始まった。しばらく授乳したが、その後に心肺停止状態となり、重度の脳性まひを負った。

 黒野裁判長は、母親の乳房で長女の鼻がふさがれ、窒息した可能性は認めたが「医療関係者でなくても窒息を防ぐことはでき、病院に責任があるとまではいえない」と結論づけた。

 母親は判決後、「病院に安全だと言われてやっただけなのに責任がないというのはおかしい」と話し、控訴の意向を示した。

朝日新聞